中国ビジネス(コラム)

喜ばれるおみやげとは、その2(1998年9月)

現地の人には何が良いのか


東京以外の方には申し訳ないが、JR御徒町駅から徒歩2、3分の場所に「多慶屋」というディスカウントショップがあるのをご存じだろうか?


筆者は全く知らなかったが、数年前中国から来たお客をアテンドした際、地元でない中国のお客から「多慶屋」に案内してくれと言われ知った。中国語読みで言われた為、最初は何のことか判らなかったが、東京に出張した人からの口コミでいつの間にか「多慶屋」が有名になっているらしい。

実際に行ってみるとなるほどと納得した。店は家電、食品、家具、文房具、雑貨・・・ありとあらゆるものが売られている。しかも店は1軒ではなく「多慶屋○○号館」という風に通りを挟んでいくつも立ち並んでいる。さしづめ新宿西口のヨドバシカメラ、或いは蒲田のユザワヤといった感じだ。


そしてびっくりしたのは、店内のあらゆる案内に英語、中国語、ハングルが併記されていることだ。大陸、台湾、香港、韓国、アジアからの客が確かに多く、目を引き、沢山買い込んでいる。海外仕様の電気製品を始め、現地の人向けのおみやげは、ここに沢山のヒントがある。

中国のマーケット調査でも顕著に現れているが、中国の人は日本人よりもブランド志向が強いことを忘れてはいけない。



現地の人へのおみやげ具体例

現地の人が好みそうなもの、意表をついたおみやげを幾つかあげてみる。


◆コンドーム
以前は中国品が粗悪なため、品質の良い日本製はものすごく喜ばれた。
渡す相手によって微妙なアイテムである。


◆エプロン
こんなものと思われるかも知れないが、エプロン自体が無く(?)、意外に喜ばれるようだ。軽くて安くて良いかも知れない。


◆有名メーカーのロゴ入り記念品
SONYとかHONDAとかの名前やデザインがある記念品。 中国人のブランド信仰に合っていれば、安さは関係ない。


◆ファッション雑誌
日本ではどんな服装や髪型が 流行っているのかは女性の関心事だ。 駐在事務所の女性スタッフには一番かも知れない。写真を見るので日本語が判る判らないは関係が無い。


◆たまごっち
今はかなり安く入手できる。筆者は「たまごっち」に、はまった中国人を何人も知っている。この手の電子ゲームも良いかも知れない。


おみやげを渡す相手の中国人がビジネス上の客であれば、下手に単価の安いものは逆に「バカにされている」と思われるので要注意だ。


下記は筆者が今まで持っていっモノだ

 ・腕時計(セイコー製に限る)、女性モノなら最低でも10,000円以上
 ・通勤用のポータブルラジオ(5,000円程度か)
 ・ポータブルCDプレイヤー
 ・電子手帳(日本語の判る人に)
 ・ケース入りの日本人形
 ・コンパクトカメラ(使い捨てではない20,000円以上のモノ)
 ・電気カミソリ(20,000円以上のモノ)


因みに中南海(政府要人)や大きな商売の相手には「金塊」が最高のおみやげだと言う情報も一部筋からは聞いたたことがある。それから、18K金製品は中国人にとって殆ど価値がないので避けた方が良い。


運転手にもタバコ1カートン必須

中国出張で現地に着いてから、何故タバコをもっと買っておかなかったのだろうと必ず後悔する。タバコは非常に便利なもので、あらゆる場面で有効だ。宴会時でも、日常でも中国の人はタバコを吸おうと取り出すと、必ず周りの人間に自分のタバコを差し出して勧める。コミュニケーションの道具としての地位は揺るぎない。


直接の客に渡すことも大事だが、ここで運転手に渡すことを勧めたい。中国商売では運転手がキーになることが多い。中国ビジネスの経験のない方にとってはにわかに信じがたい話かも知れないが、例えば社長が乗る専用車の運転手は「副社長格」なのである。


筆者は以前中国側のお客を招待し宴会をする際、相手方の運転手に非常に気を遣った。お客が自分の専用車に乗って会場入りすれば、運転手は終わるまで待機し、お客を乗せ送り届けるからだ。相手先に複数の運転手がいる場合には、会場内に別に部屋を用意し、宴会の間そこで食事をとってもらうように手配した。時には円卓に同席させることもあった。


運転手の仕事は本来夕方主人を送り届けて終わりである。しかし宴会が夜になれば、ずっと待っていなければならない。


何故そこまでするのか?運転手は社長なりが車に乗っている間、社長自身が気づかない周辺情報を与え、時には助言もすることがある。また、何故専属運転手になったのかその背景を考えた場合、血縁関係があったりプラベートでは近い存在のことが多い。社長の運転手に対する部下の接し方をよく観察してみよう。運転手同士のネットワークもあり、そこから得た動きがキーパーソンにとって大きな判断材料になることがある。


決して相手の運転手を手なづけ諜報活動をせよと言っているわけではない。日頃から挨拶をする程度で構わないから、関係を良好に保って置くべきという趣旨だ。筆者には相手方の運転手を敵に回してしまい、運転手からキーパーソンに伝わる一言で、案件を不利に進めざるを得なかった苦い経験がある。

誰が決定権を持っているのかを見極めることが重要なのだが、運転手も直接ビジネスには関わらないものの、重要なポイントである。但し、キーパーソン以外の運転手をマークしても全く意味がない。

まずはタバコ1カートンをさりげなく渡すことによって、言葉が通じなくても、それ以降、運転手は渡した人間に対して気を遣ってくれるはずである。タイミングが難しければ、客本人に「あなたの運転手にも渡してくれ」と預けることでも構わないと思う。


1箱づつのタバコはおみやげとして意味がない。分けて渡すなどと言うセコイ考えは宴会の席だけに止めて、1カートンをドーンと渡すようにしたい。そのためには沢山必要だろう。なおタバコは日本製でも良いが、マルボロやケントなどが良いかと思う。


駐在員の運転手にはそこまでの気遣いは不要だが、仲良くなっておけば、何かあった時も助けてくれるに違いない。最後に「皆さんで分けて下さい」などという日本的な渡し方は、自分は低く見られていると誤解を受けるので、完全に逆効果であり絶対にやってはいけない。


喜ばれるおみやげとは、その1(1998年9月)

中国国内の状況、生活環境がここ数年で大きく変わってきていている。現地には電卓やチョットした景品をもっていけば良いなどという時代は既にトウの昔に終わっている。


大都会に住む駐在員(長期出張者)と地方に住む駐在員、そして現地の人別に生活環境を考え、如何に喜ばれるかを判断基準に最適なおみやげは何かを検証することにする。チョット大げさか


大都会の駐在員・長期出張者へ


インターネットの普及にによって、情報の収集能力が激変した。ほんの5年前、衛星テレビも無い(貧乏宿泊施設で設備がないという意味)環境で、ニュース情報を得るため必死に短波ラジオで NHKの国際放送を聴いたものだ。


日頃日本国内では絶対に聴かないであろう、NHKのど自慢なんかも聴いてしまった。(日本人の郷愁を誘う優れた番組であることが判ったので誤解のないように)


今では新聞サイトを始め、リアルタイムで日本の動きが判る。


しかしどうしても入手出来ないのが、ハードカバーの本や専門雑誌だ。北京・上海なら日本の新聞がその日に来るので、新聞の書評や本の広告は読むことができる。駐在員は情報をもっていて必ず読みたい本があると思われる。


本の選択は正直難しい。なぜならその人の嗜好がモロに出てくるからだ。自身の好みでない雑誌や本がわざわざ海を渡って来たとしても有り難くないだろう。


大都会では出張者の出入りが頻繁なので、いわゆるキオスクで売っている週刊誌のレベルは既に誰かが持ちこんでいると考えた方が無難だ。北京や上海にポストや現代を持っていっても強烈に喜ばれることはないだろう。日経ビジネスのような雑誌も定期購読している人が多い。


これはやはり事前に連絡を取って、読みたい本、特にハードカバーや文庫本が無いかどうか確かめては如何だろうか?相手が電子メールを持っていれば事前に聞いておくことも簡単で、多少のマイナーなものもオフィス近くの比較的大きな本屋で入手可能だ。


大都市の駐在員は単身赴任ではなく、家族で小さな子供がいる場合がある。この場合、子供向けの雑誌や絵本なんかも良い。少ない予算で大きな効果を生むことを念頭に置いた場合、雑誌や本は見逃せない。安っぽくならないように、同じ系統を2、3冊纏めて買っていけば完璧である。



何に飢えているのか?食と活字

活字と食事で見た場合、食事にはもう殆ど不自由がない。大都市なら日本食はもう何処でも食べることができる。下手にレトルトカレーなど持っていっても喜ばれない。また足りないだろうと思われる梅干しやふりかけ、缶詰など皆が思いつくようなものは効果が期待できない。


ではどう工夫すれば良いか?筆者はこれに日本の季節感を織り交ぜたものをお勧めする。駐在した人なら判るが、中国に長く住むと日本ほど季節感を感じられなくなる。この季節感を呼び起こさせるモノが良いと思う。ポイントは如何にタイムリーなものを持っていくかであり、値段は安くても構わないだろう。


例えば、秋の味覚、正月を意識した餅パック+あんこの缶詰+きなこ、といった具合である。これは各自考えると良いと思う。



地方の駐在員・長期出張者

地方の駐在員・長期出張者には何を持っていけばよいのか?これは単純に大都会の逆を張れば良い。活字と食事で言えば両方とも不足している。同じなのは、インターネットでの情報収集、大きなホテルでは NHKの衛星放送が視聴できるくらいか、この辺に差は無いと思われる。


地方では日本食レストランがまだ少ない。有ったとしても「正宗」(本モノ)ではないことが多い。特に内陸では生モノ系は皆無だろう。北京や上海経由で当日現地入りできる場合は空港で是非、ばってらやアナゴ鮨、鯖鮨のパックを持っていっては如何だろうか?決してにぎり鮨である必要はない。夏を外せば当日でも問題がないと思う。


フライトでも乗務員に無理を言ってリクエストすれば、冷蔵庫の様な場所に置いてくれる。この方法で上海に「納豆」を何個か持っていったことがある。


週刊現代やポストも泣いて喜ばれるだろう。当日入りならその日の新聞、スポーツ新聞も良い。なぜなら地方では当日に日本の新聞を読むことは出来ないからだ。この辺は新しいものを纏めて束にして持っていくのが効果的である。これも安上がりだが大きな歓びを持って迎えられるだろう。


地方都市の駐在員は殆どが単身者である。このことを念頭に置いて、その寂しさを癒す方向、日本との距離感を埋める方向でおみやげを選択するのが妥当だろう。