スリグループ(窃盗団)の存在
過去に直接目の当たりにした事例を紹介しておく。
【ケース1・香港】
尖沙咀のペニンシュラホテルと科学館を挟んだ道の横断歩道を渡ろうとしたところ、車道の車が突っ込んで来たため、避けようと横断を止めたら後ろの人がぶつかってきた。お互いに申し訳ないと謝ってその場を立ち去ったが、被害者は後で貴重品をすられたと気がついた。
【ケース2・北京】
ある駐在員が日本食(居酒屋)レストランで食事中、自分の座ったイスにかけておいた上着の内ポケットから、見事に財布を盗まれた。目の前で知らない間にヤラレタわけだが、後で思い出すと隣のテーブルの知り合いと思われる人間たちが何人か通路に立ったまま話をしていた。
この店はホテル内にある日本料理ではなく、独立系居酒屋で客はローカルの人が殆どであまり綺麗な店とは言えない。場所はルフトハンザの近く。
ケース1、2ともスリグループ(窃盗集団)の仕業である。ケース1ではブレーキを踏んだ車の運転手と後ろからぶつかってきた人間がグルであり、ケース2では通路に立っていた複数の人間がグループだ。上着をイスに掛けた被害者本人の前には一緒に飲んでいた連れの人間がいたので、何か不穏な動きがあれば直ぐに気づきそうなものなのだが、視界を見事にブロックされていた。
被害金額は共に100,000円を超える大きなモノになってしまった。公安に届けようが、現金は保険では補償されない。当然の事ながら出てくるハズもない。
被害者本人が迂闊だった言えばそれで終わってしまうが、犯人はプロでしかもグループで動いているわけで巧妙だ。素人個人が防げるものでもない。如何にそのような人間たちにマークされないようにするか、この辺がポイントになる。
ホテル内は安心か?
都市部のそこそこのホテルならば、教育もサービスの意識も格段に進歩しているので、心配は無いと思われる。但し、ポケットに入る大きさの貴重品をベッドの上やテーブルに放置しておくのは絶対に避けるべき。
田舎のホテル、星の少ないホテルに宿泊した場合は要注意だ。部屋の中にいるのに服務員が用もなく勝手に部屋に入って来るのに何度か出くわしたケースがある。
使っていない(宿泊の無い)部屋に何人かの服務員が忍び込んで、電話を使ったり、酒盛りをしたという事例はいくつも聞いている。客に使われていない空き部屋と思って入ってくるのか、何かをするつもりなのかは判らないが、最近はまともになっていると思う。
人を疑うのは良くないと思われる方もいると思うが、それは日本の中で生活している場合であって、海外なら警戒にも警戒を重ねて損をすることはない。日本人ほどその辺がルーズで後で大騒ぎをする人種はいない。
セーフティーボックスは確かに安全だが、早くチェックアウト手続を済ませたい時など手間取るケースがあり利便性はあまり良くない。
部屋の中に金庫が用意されている部屋が沢山あるが、ホテルによって使い方がまちまちであり、巧く使えない場合もあるのでお勧め出来ない。パスポート、現金、T/Cなど貴重品は鍵のかかる自分のトランクの中に入れておき、鍵を携帯するのが取り敢えずは現実的な気がする。外部からの本格的?窃盗団でも無い限りホテルの部屋からトランク毎盗まれることは、まず無いのではと思う。
ノートパソコンも貴重品同様に管理には十分に注意したい。盗まれないまでも、弄られておかしくなっては大変である。
駐在員や長期出張者がヤラれる?
単純なポン引きに引っかかる人は少ないと思うが敵もさるモノ、一度目にそこそこ信用させ2回目で地獄の底に突き落とすパターンがある。
当然ポン引きとの出会いは街中で、巧妙に声をかけるのだが、中国語が出来ない出張者ならこの誘いには乗らない。これにはまってしまうのは、中途半端な中国語が出来るレベルの人間達だ。具体的には現地駐在員や長期出張者、現地での生活に慣れ、中途半端に言葉が判るが故に、まんまとはまってしまう。
そこそこのサービスのカラオケ(勿論小姐がいる)に連れていき、リーズナブルな料金で済ませる。そして2回目にボッタクルという極めて巧妙な手口だ。安心している分だけ、メニューに値段があるかなどの基本的チェックを怠るのだ。
スリに遭った被害者も、実は長期滞在者が多い。生活を始めた当初は環境に慣れていないので、神経を使うのだが、何も起こらなくだんだん日本と同じではないかと思い始める。自戒の念も込めてだが、これは慢心以外の何者でも無い。
スリ被害をを防ぐためには
基本中の基本だが多額の現金は持ち歩かない。
食事中、鞄やバック、上着は絶対にイスの後ろにかけない。上着は貴重品を抜いて目立つどこかに掛ける。
パスポートを携帯しても、あまり使う場面がない。パスポートはホテルの部屋に鍵のかかるトランクに入れて置く。非常用にコピーなどをとっておき財布にでも入れておけば良い。
などは必須と思う。
海外旅行傷害保険加入のススメ
盗難や急病など予想もしないことが起きてしまってからでは遅いので、出発前には海外旅行傷害保険に加入しておくことを勧める。特に盗難に関しては、携行品保険があるので、何かしら盗まれても何とかカバーできると思う。
帰国後の保険金の求償だが、盗難に関しては中国公安の盗難証明が無くても、周囲の人間が事実を証言(文章)で十分に被害が認定される。
証明を貰おうと思っても、よほどの中国語力が無ければ、公安の調書作成に対応出来ない。即ち事故(被害)証明も出ないと思われる。
外国人が被った被害証明書の作成、受取は別の場所に出向かなければ行けないから(上海の場合は漢口路の公安外事課、北京の場合は日壇路?)、短期間の滞在で時間を割くことは困難だろう。
破損に関しては帰国後の修理見積書で保険金額が決まるので、それほど心配することはない。
但し、損保会社が設定しているいわゆる「パック」に入る必要は全くない。保険の掛け金が高いだけで不必要と思われる項目も一緒になっており、必要な項目だけに対し、保険金を設定すればかなり安くなる。また年に数回出張する人であれば、長期で海外旅行傷害保険に加入しておいたほうが、毎回いちいち心配しなくても良いし、保険料も割安になる。
下記は筆者が契約しているパターンだ。
傷害・死亡高度障害 1000万円: 2260円
傷害・治療費用 200万円: 1550円
疾病・治療費用 200万円: 7190円
携行品 30万円: 3710円
救援者費用 250万円: 870円
賠償責任保険 1000万円: 130円
合計 15,710円
保険期間は5ヶ月(何故5ヶ月かは後述する)、おそらくセットの傷害保険でこんなに低い設定は無いと思うので、びっくりする読者もおられると思う。が、500万も 600万も加入しても、実際に満額支払われる訳ではない。中国ならこの程度で十分なのではないか。この保険で掛け金が一番高いのは疾病・治療費用だ。これが全体のかなりの金額を占める。
最近始まったのだが、6ヶ月以上の長期契約の場合、疾病・治療保険料(掛け金ではなく、受け取りベース)が有る一定金額以下では契約出来なくなってしまった。この部分が大きくなれば、保険料の掛け金も大幅にアップする。そこで期間を6ヶ月未満に設定すれば、 200万円程度の低い保険料設定も可能である。